こんにちは、風と土の自然学校 梅崎靖志です。
先日は、半年単位で学べる連続講座
「おうちでパーマカルチャー塾」の
クラスでした。
パーマカルチャーとは、
自然と調和した持続可能な暮らしを
実践するのに役立つ
知識と技術と考え方の集大成。
これからの時代を生きるヒントが
詰まっています。
「おうちでパーマカルチャー塾」というのは、
毎月2回のオンラインクラスで
価値観を共有する仲間たちと交流しながら、
自分の手でつくる循環する暮らしを
学び、実践するコースです。
ただいま、2021年10月にスタートした
第2期が進行中です。
循環する暮らしの舞台となる敷地のデザイン
今回のテーマは、
循環する暮らしの舞台となる敷地のデザインと
これからの時代の生き方・暮らし方でした。
パーマカルチャーとは、
農的な暮らしをベースにした暮らしの
デザイン体系。
ひとことでいえば、
循環する暮らしを実践するために役立つ
知識と技術と、考え方がまとめられたものです。
パーマカルチャーを活かした暮らしを考えるとき、
柱となるのは、次の3つをデザインです。
パーマカルチャー3つの基本デザイン
1つめは、
敷地をどう使うのか?という
敷地のデザインである「ランドスケープデザイン」
2つめは、
エネルギーや水、有機物の流れを
どのように作り、流れをつくるのか?
という暮らしを支える重要な要素の
関係とつながりをつくる「システムデザイン」
3つめが、
暮らしを営む上で、必要となる
具体的な施設や設備の詳細をつくる
「アイテムデザイン」
ここでいう「アイテム」とは、
たとえば、コンポストトイレや
太陽熱で食品を乾燥させるソーラーフード・ドライヤー、
土でつくるパン焼き窯アースオーブン。
ほかにも、
パーマカルチャーのアイデアの
ひとつとして有名なロックスパイラルガーデン、
鍵穴型のキーホールガーデン、
ニワトリ小屋併設の温室チキンホットハウス
などなど、様々なものがあります。
つまり、アイテムデザインとは、
自然と調和した循環する暮らしを構成させる
様々なアイテムの詳細設計のことです。
今回のおうちでパーマカルチャー塾では、
敷地のデザインである
ランドスケープデザインについて、
基本的な考え方をご紹介しました。
敷地のデザインをどう考えるのか?
そのために
暮らしの中にどんな循環を
生み出すか?
理想をどんな風に描き、
どんなライフスタイルを実現するか?
こうした暮らし方を考えるとき、
どんな考えに基づいて
暮らしをつくるのか、
敷地の使い方がとても大切になります。
マンション暮らしにも応用できます!
ちなみに、マンション暮らしでも、
基本的な考え方は同じです。
たとえば、
どこに生ゴミをストックして、
どこに段ボールコンポストを置くのか。
ベランダに、
物干し場とプランターと
小さな太陽光発電のシステムを置くなら、
どのような配置にするのか。
という、家の中の配置だけでなく、
周辺の公園や、借りている市民農園も
含めて、ランドスケープデザイン的な
視点で暮らしを捉えることもできます。
特に、転居をするときなども、
間取りだけでなく、周辺の環境も
含めてとらえる
パーマカルチャー的な視点が役立ちます。
敷地のデザインの考え方
パーマカルチャー的な暮らしを始めるにあたり、
大切なのはその場所の性質を知ること。
その土地を1年間観察して、
特性をつかんだうえで、
敷地をデザインするのが理想です。
普通は、戸建て住宅を作るとき
土地を取得したら、
「こんなことをしたい」
「こう言うものが欲しい」
というリクエストを工務店との
打合せで伝えて、
あとは、提案をもらったら
「うん、こんな感じでいいと思います」
とお任せになることが多いみたいです。
たとえば、都会的な普通の暮らしであれば、
勝手口がなくても別に困りません。
でも、生ゴミを外のコンポストで
堆肥化したい、と思ったら、
勝手口から、すぐ外にあるコンポストに
生ゴミを入れられれば便利です。
勝手口がなければ、
生ゴミを持って、玄関に行き、
庭に回ってコンポストまで運ぶことになりますね。
「なんだか面倒くさいなぁ」と
感じる配置になると、ちょっとしたことでも
なかなか続けることができません。
だから、暮らしに必要な要素を出して、
土地の性質に合わせて、使い方を計画
する敷地のデザインが重要になるんです。
6つの区画に分けて考えるゾーニング
パーマカルチャーでは、
使用頻度に合わせて敷地を
6つの区画に分けて考えます。
基本的な考え方としては、
よく行く場所は近くに、
行く頻度が少ない場所は、
遠くに配置するイメージです。
実際には、
地形などの状況や
ライフスタイルに合わせて
臨機応変にデザインします。
まず、生活の中心となる家が
ゾーン0になります。
ゾーン1は、使用頻度の高いエリア
たとえば、キッチンガーデンやコンポスト、
物干し場や、薪小屋など。
苗を育てる温床もここに配置します。
ちなみに、雨水タンクは、建物の屋根に
降った雨を集めるので、建物にくっつけて
設置するので、やはりゾーン1になります。
また、薪小屋や温床は、
使う季節は限られますが、
冬や春には頻繁に足を運びます。
こうした施設も、
ゾーン1に配置するのが合理的です。
マンション暮らしの方なら、
ベランダのプランターがゾーン1に
あたりますね。
ゾーン2は、家畜小屋や水田、畑、
防風のための生け垣などが配置されます。
たとえば、ニワトリ小屋であれば、
掃除と餌やり、卵の回収、などのために
毎日行きますね。
マンション暮らしの方であれば、
借りている市民農園が
ゾーン2にあたるでしょう。
ゾーン3は、
果樹園、販売や交換のための
作物や家畜を育てるエリア。
比較的、手のかからない作物を
育てる畑を配置するのもいいでしょう。
ミツバチも、暖かい季節には、
週1〜2回様子を見ればよいので、
家から少し離れた場所でも
差し支えありません。
なお、都会暮らしの場合なら。
借りている畑が少し遠くなる
こともあります。
距離が遠くて頻繁には行けない
場合は、ゾーン3の畑として、
ジャガイモなど、
あまり手のかからない作物を
育てるのがいいでしょう。
ゾーン4は、
半野生のエリアで、
年に1〜2回程度、手入れをする
植林地や雑木林などになります。
キノコの駒うちをしたほだ木も、
頻繁な手入れはいらないので、
このエリアに置いて置くのが
よいでしょう。
ゾーン5は、
人の手が入らない自然のままのエリア。
イメージとしては、
野生生物の生息地であり、
散策をしたり瞑想をするのにいい場所
だと考えていただければOKです。
日本の場合、ゾーン5が自宅の敷地に
入ることはまれです。
わが家の場合は、歩いて5分ほどにある
集落の森がゾーン5に相当します。
循環する暮らしをデザインしよう
自給自足的な暮らし、
自分の手でつくる循環する暮らしを
実践しよう、と思ったとき、
具体的な自然農のやり方や、
パーマカルチャー的な菜園の作り方など、
具体的なやり方に目が行きがちです。
でも、本当は、
その裏にある考え方が重要です。
この考え方がしっかりしていると、
具体的にどんな風に
自分が生きていきたいのか
という軸も定まりますね。
もちろん、
頭でっかちになってもだめなので、
実践と考え方のバランスが
とっても大事だなって思います。
おうちでパーマカルチャー塾の塾生さんの感想
2月のクラスのテーマは、
パーマカルチャーの敷地のデザインと
パーマカルチャー的な生き方・暮らし方
でした。
参加した塾生さんからいただいた感想を
ご紹介しいます。
ーーー
今日はパーマカルチャーの手法だけではなく、
思想のような深い考え方を学べたなぁと思います。
これからの生き方としてパーマカルチャーの
考え方はしっくりくるなぁとしみじみ思いました!
(ふーちゃん 宮城県)
ーーー
今回の講座は、
これまで漠然と思っていたことが
言語化されたような印象で、
とてもためになりました。
私が求めているものが何かを
指南してくれたかのようです。
大好きなことで人の役に立つこと、
それが仕事と一体化して暮らしとつながる。
これぞ私が求めていた理想像。
それが自分にとって何なのか
整理していくことが、
これからの課題だと思いました。
(Yさん 千葉県)
ーーー
参加している塾生さんたちは、
住んでいるところも、お仕事も
バックグラウンドも違います。
でも、共通しているのは、
自然と調和した暮らしを意識して
いるということ。
同じ方向を目指す仲間と一緒に
学び、交流を通じてつながれるので
毎回が、とっても楽しい時間です。
連続講座が4月から始まります!
オンラインで学び、自宅で実践できる
連続講座の「おうちでパーマカルチャー塾」と
八ヶ岳で開催している
リアルの年間講座
「自然農と手づくり循環生活実践コース」が
4月からスタートします。
八ヶ岳に毎月1回、足を運べる方なら、
年間講座がオススメです。
参加特典として、オンラインの
「おうちでパーマカルチャー塾」にも
参加できるので、しっかりと学べます。
オンラインの
「おうちでパーマカルチャー塾」は、
全国各地はもちろん、海外からも
仲間が集まっているので、
インターネットが繋がりさえすれば、
どこからでもご参加いただけます。
また、クラスはすべて録画をしますので、
リアルタイムで参加できないときも、
ご自分のタイミングで何度でも学べます。
オンラインのお話会も開催中!
2月には、
自然農や循環する暮らしをテーマに
連続講座のガイダンスを兼ねた
オンラインのお話会を開催しています。
たとえば、
・なぜ、耕さないのか?
・なぜ草も虫も敵としないのか?
・草や虫が作物の栽培に欠かせない理由とは?
など、
自然農は、普通の畑とは、
ある意味、真逆だけど、
それぞれ深い理由があります。
このお話会では、
自然農の考え方とその裏にある
合理的な理由についても、わかりやすく
お話ししています。
自分の手でつくる循環する暮らしについて、
新しい世界への扉が開かれる2時間です。
自然農の畑は、立って見渡しているだけで
気持ちがいい畑です。
自然農とパーマカルチャーは、
私たちが実践する
「自分の手でつくる循環生活」の
軸になる考え方です。
楽しく自然とつながる暮らしに
ご興味があれば、きっと気に入って
いただけるはず。
引き続き、いろんな角度から、
手づくり循環生活について
ご紹介していきます!