自分の手で作る循環する暮らしで
わが家の自給率をアップしよう!
風と土の自然学校 梅崎靖志です。
僕たちの自然学校は、
わが家の自給率アップをテーマに、
主に大人を対象とした様々な講座をしています。
その中に、
お母さんと小さな子を対象にした
連続講座があります。
自然とふれあい、自分たちの手を動かす暮らしを
小さな子どもたちと一緒に楽しんでいただきたい、
そして、こうした暮らしの営みを、
自然学校での特別な体験で終わらせず、
日常の暮らしの中に、取り入れていただきたい。
そんな風に思いながら、開催しています。
小さなチャレンジが成長を助ける
パートナーのナツキータが、
「はねこっこ」という野外共同保育の会をしていました。
0歳〜未就学の子どもたちが、
お母さんと一緒に集落内を散歩して、
持ち寄りのおかずで一緒にお昼を食べる、
というシンプルな会です。
いまは八ヶ岳南麓に拠点を置いて活動している
私たちが、まだ、富士山の近く、
山梨県の都留市にいた頃のこと。
いつも活動フィールドとして、ご近所の
お寺の裏山を使わせていただいていました。
その山には、ちょっとした急勾配の斜面
通称「崖」があります。
登れる子どもたちは、
崖によじ登っては、集落を見下ろせる高台に立ち、
また降りてきては、よじ登る、ということを
延々と繰り返して遊びます。
まだ登れない子たちも、登りたい子は
崖の下に行って、登ろうとするけど
ズリズリ〜と落ちては、
またチャレンジをする。
このとき、お母さんたちは
応援することはあっても、
手助けはせずに、
大きなけがをしないように、見守るだけ。
ともすれば、
「わー、○○ちゃん、登れたね〜」
「やったー!がんばったね」
「すごいすごい!」
と、賞賛したりしたくなるもの。
でも、
あえてそれはしないことにしていました。
登れたことをほめることで、
子どもたちはよろこぶかもしれません。
でも、
登れたらエライ、
登れなかったらダメ、
みたいな価値観を受け取ってしまう、
という可能性もあります。
でも、この活動の中で伝えたいのは、
みんながそれぞれ、
自分がやりたいことを楽しむ。
登りたい子は登ればいいし、
登りたくない子は、登らなくていい、
自分のタイミングで、チャレンジすればOKと
いう考え方が根っこにあります。
ほめないから生まれる、満足感の自給
ある日のこと。
いつものように、崖に子どもたちが群がり、
崖のぼりが始まりました。
まだ崖に登れなかったHちゃん。
その日も、他の子に混じって
崖登りを始めます。
途中ずり落ちながらも、
少しずつ上に上に。
そして、ついに登り切った時、
「うん、のぼれた」と
小さくつぶやいて、
うんうん、とうなずき、
「わたし、できたね!」という
達成感を一人かみしめていました。
チャレンジして崖登りを成し遂げたという
達成感、満足感を味わい、
できた自分に対する
自信を感じているようでした。
その様子を見ていた
お母さんたちは、気づいたんです。
「あ、満足感を自給してる!」
自分がチャレンジしたいタイミングで
チャレンジして、成し遂げる。
このとき、
「スゴい!のぼれたね!頑張ったね!」と
声をかければ、
もちろん、子どもたちは
ほめられた!うれしい!
となるでしょう。
このとき、
子どもの意識は、
自分の内面ではなく
賞賛の声のする方、
つまりお母さんに向きます。
そして、
またほめてもらいたい、認めてもらいたい、
という心の動きが生じて、
また崖のぼりにチャレンジして、
「ママ、見て見て〜、のぼれたよ!」
となっていくかもしれません。
一方、
自分のタイミングでチャレンジして、
達成すれば、
「うん、のぼれた」とつぶやき、
達成した満足感を、自分で味わう。
「満足感の自給」が起こっているとき、
子どもの意識は、
自分の内面に向かっています。
自分の中から湧いてくる達成感、満足感を
しっかりと味わい、
そしてもう一度、崖登りにチャレンジしていきます。
「ほめる」のと「ほめない」のと、
どちらが「いい」とか「悪い」とかではなく、
心の動きには、こうした違いがある、
ということです。
そして、同じように崖を登っていても、
ほめられたくて登るのと、
自分のために登るのでは出発点が異なります。
つまり、
ほめられたい、が動機になるケースは、
「自分を認めてもらいたい」
という外発的な動機による行動で、
「自分がやりたいから」という
理由で登るのは、
内発的な動機による行動だと
いえるでしょう。
満足感を自給するために大切なこと
ほめられることで、もっと頑張ろうという
チカラにつながる面はもちろんあります。
でも、
「ほめられる」ことが目的となってしまうと、
ほめられなければ、やる意味がない、
と感じられてしまうこともあるでしょう。
そして、
「自分がやりたいから」という
内発的な動機が出発点であっても、
「ほめる」というインセンティブが
与えられると、
「ほめられる」ことが目的化してしまい
「自分がチャレンジしたいからやる」
という
内発的な動機が失われていくこともあります。
これは、心理学では、
「アンダーマイニング効果」として
知られているものです。
つまり、
内発的な動機で取り組んでいた行動に、
外発的な動機付けを与えることで、
意欲が低下する現象です。
満足感の自給は、
子どもの内面に、
自分がやりたいと思うことに
チャレンジする意欲を育み、
自分で成し遂げたという経験は、
自信にもつながっていくでしょう。
満足感の自給が起こる時、
大切なのは、
「自分がやりたいタイミングで
チャレンジすること」
「ほめられたい」から、という
外発的な動機ではなく、
「自分もやってみたい」という
内発的な動機を出発点とするとき、
そのチャレンジは、
外からの賞賛を求めない
「自分のためのチャレンジ」になります。
誰かに認めてもらうために頑張るのではなく、
自分で決めた目標に向かって頑張る。
達成した時に、
つぶやく「のぼれた」という一言には、
自分で自分を認めた時に生まれる
「自信」の芽生えも感じられますね。
ほめないなら、なんて声をかければいいの?
「ほめない」というと、
チャレンジをやり遂げた子どもに
「なんて声をかけたらいいの?」
と思われるかもしれません。
そのときは、
「登れたね」と事実だけを伝えてみては
いかがでしょう。
その一言の中で、
「あなたが頑張っているのをちゃんと見てたよ」
「最後まであきらめずに登り切って、ママもうれしい」
という、様々な思いも一緒に伝わります。
そして、「登れたね」と声をかけられた子は、
「うん、のぼれた」という感じで
ニコッとして、
また崖下へと走って行くかもしれません。
こんな風に、
お子さんと一緒にその満足感を
かみしめるというのもいいかもしれません。
小さな子を育てるお母さんの 自然と育児
オンラインお話し会
風と土の自然学校で開催している
「お母さんと小さな子の循環生活 連続コース」の
中で大切にしていることや、
活動の様子をスライド交えてご紹介します。
このお話し会では、
自然とつながる子育てのなかで、
私たちが大切にしている視点もご紹介します。
たとえば、
・「なぜ、うちの子はできないの?」という
子育ての不安やイライラを解消する視点
・「ねばならぬ」を手放すコツ
・母も子も成長できる、小さなチャレンジ
・「大丈夫だよ」のシャワーを浴びて
お母さんが元気になる!
・できる人が、できるときに、
できることをする安心感
などなど
ほかにも、8月からスタートする
連続コースの内容についてもご紹介します。
<お話し会 開催日時>
2022年7月22日(金)午前10時〜11時半
2022年7月24日(日)夜20時〜21時半
2022年7月30日(土)午前9時半〜11時
小さな子を育てるお母さんの
自然と育児 オンラインお話し会 の
詳細は、こちらからご覧いただけます。
小さいお子さんを育てているお母さんなら、
どなたでもご参加いただけます。
私たちが、
お母さんと小さな子の循環生活 連続コースを
開催しているのは、
孤独になりがちが子育て中のお母さん同士が
つながれる場を作りたい、
それが、
子育てをしているお母さんたちの力になる
と信じているからです。
「自然のなかで、様々な体験をしながら
子どもにのびのび育ってほしい」
「いろいろなチャレンジを通じて、
親子で一緒に成長したい」
こうした思いを持つお母さん同士が
お子さんと一緒に活動する中で、
支え合える仲間へと育ち、つながっていく。
お母さん同士のつながりが、
小さな子ども達を育てる上で
一番の支えになります。
だから、お母さん同士が
つながれる場を作りたい。
連続コースには、
こうした思いが込められています。
このお話し会が、
自然や人とつながる暮らしを
お子さんと一緒に楽しむ
きっかけとなればうれしいです。
風と土の自然学校の活動に
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