こんにちは、風と土の自然学校 梅崎です。
年間講座「自然農と手づくり循環生活 実践コース」
8月のレポートその1です。
今回は、くみさんが担当してくれました。
とてもわかりやすくまとめられています。
ありがとうございます!
では、お楽しみください〜
オリエンテーション&近況報告
いつきちゃん、まっちゃん、くみぽん、めぐ、ゆきちゃん、くみ、
(ちょっと遅れて)やまちゃん、ぐみちゃん
<近況報告>
いつきちゃん:先月学んだ燥体操、毎日実践して好調です! 先週の作業日のお昼に食べた流しそうめんが最高に美味しかった♪
くみ:体力だけは自慢なのに先月はダウン・・・参加出来ず残念 庭で育てている夏野菜は好調です!
くみぽん:5階のベランダで育てている野菜にアブラムシがいっぱいでびっくり!先月は鴨川市の「空き家ツアー」に参加しました。
まっちゃん:一昨日から夏休みで長野を旅行中。今日は長野から参加。
はなちゃん:旅行中の動物園での触れ合いが楽しかったみたいで、最高にご機嫌の夏休みを満喫している様子です♪
めぐ:郵便局で配達のため、バイクに乗り始めました。 真夏のバイクは座るところがすぐに熱くなるし、けっこうきつ~! 配達先でお茶をいただけるのが嬉しい♪
ゆきちゃん:最近は毎週のように自然学校のイベントに参加中。八ヶ岳サイトは最初のころから参加しているので土地の変容ぶりにびっくり!
ナツキータ:田んぼの向かいの土地を畑にするため、草刈りに苦戦中・・・ 秋の種蒔きに向けてがんばる!
うめちゃん:一週間前に突然背中から首、肩にかけて激痛が走る。頸椎ヘルニアと整体の先生に言われる・・・ 痛みに耐えて何とか奮闘中。
やまちゃん:仕事が忙し過ぎて・・・ 自然農も久しぶり。
ぐみちゃん:引っ越してから仕事と家の往復だけで精一杯。 循環の講座が毎回楽しみ。
作物のタネの話
うめちゃんがスライドを使って講義してくれた後、グループに分かれて意見交換しました。
【種子の種類】
・在来種=昔から農家が自家採種を続けてきたタネ 郷土種など地域の気候風土に適応した品種
・固定種=在来種の中から良いものを選んで形質を固定したタネ 種屋さんが育成した自慢のタネ
・F1種=交配種 異品質をかけあわせて作った雑種の第一代目 ハイブリッドシード
・GM種=遺伝子組み換えされたタネ
現在流通しているのはF1種が主流。
F1種は、雑種強勢の性質で、父方、母方の組み合わせによってその優勢因子だけが現れ、どちらよりも優れた形質の雑種になる。(メンデルの法則)
なるべく遠い品種どうしをかけあわせると雑種強勢の性質がより出やすくなる。
孫の代になると劣勢因子が現れ、品質にバラつきが出てくるので必ず一代目を使用する。
家庭菜園において使用するには、F1種でも育て続けることで自分のオリジナルの品種にできあがるので、そういう楽しみ方もある。
【固定種とF1種の違い】
・固定種・・・実る時期がバラバラなので晩生、早生ができ、大きいのから順に収穫できる。形や大きさがバラバラであり、味も多様性があり比較的濃い。
・F1種・・・実る時期が正確なので、まとめて収穫、出荷できる。形や大きさ、味が全
て画一的で、比較的薄味。
作業効率はF1種の方が良いが、家庭菜園には収穫時期がばらつく固定種の方が向いている。
【F1種の作り方】
・人為的除雄(両性花の場合)・・・おしべをピンセットで1個ずつ全部取り、丸裸になっためしべと遠く離れた品種のおしべをかけあわせる。手間はかかるが確実にF1種ができる。昔のやり方。
トマト、ナス、とうがらしなど。
雄花と雌花が分かれている場合も、雄花だけを摘んでいく。きゅうり、かぼちゃなど。
・自家不和合性の利用(アブラナ科の場合)・・・自分の花粉を嫌がる性質があり、タネをつけない。
つぼみの時はまだ自分の花粉を嫌がる性質が働かないので、つぼみを開いて株の中で早く咲いた花を1個ずつ受粉させることで父も母も同じクローン株をつくることができる。
例えば白菜、かぶなど、自家受精しないクローンの2品種を畝毎に交互に植え、花粉を虫に運ばせることで受粉させる。欠点は必要な品種は片方のタネだけなので、畑に損失が出る。
・炭酸ガスの利用(アブラナ科)・・・空気中に3~4%濃度の炭酸ガスをまくことで麻酔のような効果があり、自分の花粉を嫌がる性質をやめてしまう。
人手を使わなくてもミツバチが交配してくれる。ミツバチは血液中にヘモグロビンが無いため、炭酸ガスの濃度が高くても酸欠にならない。
1個ずつ受粉させるより手間が掛からず、畑も全体的に有効利用できる。
・雄性不稔の利用・・・突然変異でおしべが無い(花粉がつかない)品種を発見し、その突然変異の品種と正常な株の花粉をかけあわせることで「おしべの無い子孫を作らないタネ」を完成させる。
おしべを取る手間が省けるので受粉に手が掛からず、種苗メーカーにとっては便利な方法。タネ作りの効率を上げるために正常な株より雄性不稔株を多く植える傾向にある。
問題点は、雄性不稔の植物には花粉がつかないのでタネが採れないこと。
作物は採れてもタネが採れないので、流通しているタネが雄性不稔ばかりになると常にタネを買い続けなければならなくなる。
結果的に命の根源であるタネを種屋さんに占領されてしまうという事態になることが危ぶまれる。解決策としても固定種を守る必要性がある。
また、花粉がつかないのはミトコンドリアの異常であり、ミトコンドリアは母方の遺伝子を受け継ぐ。
母が雄性不稔だと子も雄性不稔になり、子孫を作れない野菜を食べ続けることで人体に影響は出ないのか?という危惧も残る。
【世界的に忍び寄る種子の支配】
世界の遺伝子組み換え植物の開発・所有率は90%をモンサント社が占めており、自ら開発した遺伝子組み換え種子以外にも、他の在来種の種子までも技術と種子に特許申請し、「知的財産」をとっている。
遺伝子組み換えの安全性について危ぶまれているうえに、世界中のタネを一企業が支配しようとしていること自体に危惧がある。
(参考 映画「モンサントの不自然な食べもの」)
【もし日本がTPPに参加すると・・・】
・アメリカで2011年に食品安全近代化法が成立し、政府に登録されていない農産物を排除するという規制強化により、個人が自由に作物を生産できなくなるのではないか。
・自家採種のタネを使用できなくなるのではないか。
・日本でも固定種のタネの売買を禁じられるのではないか。
現在では、アメリカを含め、TPPには反対の動きも出てきている。
フランスでは以前は自家採種のものは流通させてはいけないという法律があったが、今は規制が緩くなっている。
日本でも「登録品種」という制度があり、登録品種については、一定期間は登録している人の権利が守られている。
新たに自家採種するには「登録品種」以外の固定種から育てる分には問題がない。
【まとめ】
F1種が増えることで固定種が少なくなっている。またF1種でも雄性不稔のタネが増えることで、種継ぎができないという問題が生じている。
その背景にはグローバルビジネスの影響で種屋さんからタネを買わないと育てられないような状況になりつつあることも危惧される。
一方ではタネを守ろうとするグループも出てきていて、シードバンクなどが設立され、種苗交換会も行われている。
昔ながらの在来種・固定種が絶滅する前に、関心のある人たちがタネを守るための選択をし、皆が手分けをして自家採種していくことが大切ではないか。
昼食タイム
めぐとしーちゃんが梅崎家の庭で収穫した茗荷がたっぷり入ったお味噌汁、とっても美味でした!
卒業制作
午後からじゅんが合流。
卒業制作・・・循環講座で学んだことをいかして生活に役立つもの、または誰かに伝えるためのツールとなるものを卒業までに作り、発表します。グループでも個人でもOKとのこと。
今回はそのテーマを参加者全員で自由にアイデアを出してみました。
2グループに分かれてブレストして出た案は・・・
・手仕事カレンダー
・手ぬぐい
・薬草事典
・種取りブック(種の取り方)
・染めモノ
・5期Tシャツ
・本棚
・長靴が入る下駄箱
・似顔絵
・木歯下駄
・机&イス
・可動式棚(子供の成長にあわせて)
・自然学校のラジオ体操
・蕎麦打ち道具
・鳥小屋、犬小屋、猫小屋・・・
・郵便ポスト
・郵便バイクにのせるボックス
・ハト時計
・布作り(糸紡ぎ、布おり、草木染め)
・雑草から布(竹細工のようなもの)
今回出た案を参考に、次回までに仮案を決めてくることになりました。(今回出た案以外でもOK)
自然農
途中で羽野ちゃんが合流。 本業の畑が忙しいのに2班の畑の様子を見に来てくれました。
今回は雑草刈り、夏野菜の収穫、秋野菜の苗床作りと種まきをしました。
収穫した野菜:トマト、きゅうり、なす、ピーマン、しし唐、大根、トウモロコシ、小玉スイカなど
種蒔きした野菜:きゅうり、なす、だいこん、かぶ、ほうれん草、春菊、小松菜、玉葱、長葱などなど
苗床の作り方
今回は、白菜、キャベツ
①手前から草を刈り、土を完全に露出させる。鎌を土に少しさし込むように草刈りをするときれいに刈れる。
②1cm位の深さに、鎌で土をけずって表土を脇によける。(地表面に落ちている草の種を取り除く)
③3〜5cm位の深さに、鎌を土にさし込んで根切りをする
鍬(くわ)を使う場合は、耕さない。刃を地面にさし込み、そのまま抜く。これを繰り返しながら前進していく。
④表面を軽くならして平らにしたら、しっかり押さえる
⑤まき溝を作る
⑥指で種をつまみ、2cm間隔で指をねじりながら1粒ずつまく
⑦土をかぶせてしっかり手でおさえる
⑧10㎝程度に切った細い草(イネ科の植物がよい)を土が隠れる程度に敷く
⑨パオパオ(不織布)をかぶせて、虫を防ぐ。
今回植えた苗床ものは9月頃、ポットに上げるか直接畑に植える予定です。
その他、大根、カブ、キュウリなどのたねもまきました。
お風呂へ
夕食
トウモロコシとタマネギのポタージュ、ズッキーニのトマト衣ピカタ、ズッキーニとナスの炒め物、夏野菜のモリモリ漬け、ニンジンのラペ、セロリのきゃらぶき風、土鍋で炊いた白いご飯。
今回も盛りだくさんのメニューで美味しく頂きました♪
いつも美味しいメニューを考えてくれるナツキータに感謝いっぱいです
マツヨイグサの開花ショー
懐中電灯を片手に、皆で自然農の畑に出てお花見です。そういえば夜に畑に行くなんて初めてでした。
蕾からゆっくりと花弁が開き出し、最後は勢いよくパッと開く瞬間は本当に感動的です!
そして夜に黄色の花がまた映えるのですね。 小さく目立たないところでこんな神秘の世界が毎日繰り広げられていると思うと、やっぱり自然の世界は素晴らしいなと思います。
ちなみにマツヨイグサの花言葉は「移り気」「ほのかな恋」「浴後の美人」だそうです。
DVD鑑賞会&懇親会
今回はタネの話から関連して「ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて」を皆で観賞しました。
個人的には今ちょうど辻信一さんの書籍を立て続けに読んでいたこともあり、とてもタイミング良くこのDVDを観ることができて感激でした!
タネを守ることが世界中の全てのいのちと、そして大地(地球)を守ることにもつながると、あらためてその大切さを考えさせられました。
<感想>
私自身が、自然、特に食のことに関しての意識は昔からあった方だとは思うのですが、いま思うとかなり視野は狭かったと思います。
今は仕事もやめて一旦小休止、そして方向転換しようとしているところですが、循環講座で学ぶにつれ、自分の視野の狭さに気付き、そしていろいろ意識を向けてみても情報が氾濫していて、悪意はないとしても一方的な立場から発信している情報もたくさん流れていて、いったい何が本当なのかと思うことも多々あります。
うめちゃんもよく言っていますが、本質は何なのか?を常に意識して、情報発信者の意図も意識して、そして自分が本当に信じる道を選択していきたいです。
というわけで、今回のテーマ、タネの話はとっても楽しく、そしてとても深淵で、とてもとてもためになるお話でした♪