年間講座 自然農と手づくり循環生活実践コース 7月1日(土)のレポートです!
今月の講師は、静岡県清水からいらした、工房自遊人の小杉親方。
大工として仕事を始めて、もうすぐ50年とのことです。
家を建てたり、修復したり、大きいものがメインだったところから、
15年ほど前から、家具や小物など、小さいものも作るようになったそうです。
今年の4月に風と土の自然学校で開催された「曲げわっぱづくりワークショップ」の講師の方です。
いつものように、1人ずつ近況報告をした後、座学からスタート。
在来工法の基本
始めに建物に関する基本を学びました。
1.工法
2.単位 尺貫法
3.材料の見方
1.工法
1)在来工法(木造軸組工法)と2×4(ツーバイフォー)工法の違い
在来工法は、柱と梁と筋交いで構造を作る工法です。木造建築では、在来工法が主流とのこと。
まさに大工仕事というか、技術がなければ難しい工法。
「筋違い」を入れることで強度を上げて、地震に対する揺れに対応します。
ちなみに、太い柱と梁を多用した昔の建物は伝統工法といい、現在の在来工法とは異なるものです。
伝統工法では筋交いではなく、柱に貫(ぬき)を通してくさびを入れて固定する「貫構造」が一般的です。
これに対して、2×4(ツーバイフォー)工法は、壁構造といって、壁と壁を固定して箱状にすることで強度を出します。
在来工法に比べて、特別な技術がない素人でも取り組みやすい工法。
地震に強いのが特徴。
ちなみに、今回、私たちが作る軽トラキャンパーは、軸組工法的なやり方です。
小杉親方が模型を使って説明してくれました。
2)単位 尺貫法
日本では、尺貫法という単位が使われていました。
日本でメートル法が採用されるようになってからも、建築の世界では、メートル単位で表記されてはいるものの、長さの基準は尺寸が基本となっています。
たとえば、畳のサイズは、長い方が1間(けん)=6尺(1,818mm)、短い方が半間=3尺となっています。
つまり、日本のでは、建築関係の長さはメートル法で表記されていても、すべて尺寸が基本になっているそうです。
1尺=30.3cm
アメリカで使われている、feet(フィート)は、1フィート=30.48cm
近しいサイズ感です。
「畳」は、ほぼ布団1枚の大きさで、
平均的な日本人に必要な寝床のスペースでもあります。
それから、大工さんが使う定規、L字型のさし金は大工仕事に欠かせない道具です。
さし金には様々な知恵が凝縮されていて、使い方は1冊の本になるほど奥が深い!
「大工のさしがね術」という本を、小杉親方が紹介してくれました。
㎝メモリと尺寸メモリの差し金を比べる
3)材料の見方
木の長所を生かした使い方が大切です。
板には、板目(いため)材と柾目(まさめ)材があります。
板目材は、木表(きおもて)、木裏(きうら)があり、板が乾燥すると木表側に反ります。
ちなみに、丸太のときに、樹皮側が木表、中心側が木裏となります。
一方、柾目材は木表と木裏が出ないように切り出した板です。
木表と木裏がないので、反りが出にくい材だといえます。板目材に比べて、幅広の板を取りにくいので値段は高めです。
左が柾目(まさめ)板、右が板目(いため)板の木目
板目材と柾目材は用途が異なります。
板目材は、床や壁など、多少反っても大丈夫なところに使います。
一方、柾目材は、建具(ドアや引き戸)や、その周り枠となる框(かまち)に使います。
建具や框が反ってしまうと、うまく開け閉めできなくなったり、すきまが生じる等の支障が出ます。
そこで、反りが出ないように木表・木裏のない柾目(まさめ)材を使います。
ちなみに、敷居や鴨居は板目材を使いますが、木表が内側になるように使うことで、建て付けが悪くなるのを避けることができます。
なお、板目材の場合、元の丸太の直径とほぼ同じ幅の板を取ることができますが、柾目材の場合は、直径の半分までの幅しか取れません。
そのため、値段が高くなるそうです。
柾目材の幅は、最大でも丸太の直径の半分
それから豆知識として、以下のようなお話を伺いました。
・木は、たくさんのストローが集まった束のようなもの。木口(切り口)から水分を吸いやすいので、そこから腐りやすい。木口から水分を吸わないようにしておくことが重要。
・コンクリートは圧縮に強いけど、引っ張りに弱い。そのため、コンクリートは鉄や鉄筋と合わせて使われる。
踏み台づくり
そして、お待ちかねの実技「踏み台づくり」
1人1枚、図面と材料の板が配られました。
1.板に、墨つけをする(切るラインを書く)
切る場所を明確にするため、材料の板に鉛筆で線を書き込みます。
図面を見ながら、板に墨つけ
2.板を切って、踏み台のパーツをつくる
丸のこやスライド丸のこを使って、墨つけしたラインに合わせて板を切り、踏み台の座面、脚を作ります。
スライド丸ノコで板を切る
3.切り出したパーツをきれいに整える
板の角を電動トリマーという機械でまるく仕上げたり、カンナで面取り(角をとる)します。
トリマー(左)やカンナ(右)で板の角を面取りする
4.組み立てる
作ったパーツを組み立てて、インパクトドリル(電動ドリル)でビス留めします。
ビス留めする前に、ビスを隠すためのダボ(細い棒)を埋め込む穴をドリルであけておきます。 ビス留めしたら、上からダボを打ち込んで、飛び出た分を切り落とします。 踏み台のパーツを組み立てる
ビスの上からダボを入れる
5.ヤスリなどできれいに仕上げる
さらに時間がある人は、紙やすりで表面をきれいに仕上げます。
一応、参加者はみんな形にすることができました!
7月1日目の学びの場はここまで。
踏み台完成!
お風呂、夕食、そして交流会と、小杉さんもご一緒に更なる素敵な時間を過ごしました。
楽しい夕食
以上、7月1日(土)のレポートでした。
素敵な時間をありがとうございました!!!
よーちゃん