こんにちは、風と土の自然学校 梅崎です。
先週末は、
アーユルヴェーダのおいしい野草料理と図鑑の引き方を学ぶ
「めざせ!植物の達人 野草編」を開催しました。
今回の講師は、
野草の識別と図鑑検索は、森林インストラクターでもある梅崎の担当。
そして、野草の活用法とおいしい野草料理は、
インドの生命科学 アーユルヴェーダの先生 タミちゃんこと、
ミヤモトタミコさんに教えていただきました。
野草の観察と採集に出発!
オリエンテーションと自己紹介のあと、野草の観察に出発です。
自然農の畑まで、観察しながら歩いていきました。
所要時間は約1時間。とはいえ、距離は100mもありません。
観察したり、ポイントを解説したり、つまんで味見をしたり。
予定通り、なかなか前に進みません(笑)
そのあと、ご近所のお寺の山にもお邪魔して、観察の続き。
歩いて数分のところでも、環境が違うと生育する草も違います。
約1時間半、野外での観察と標本の採集をしました。
ポイントは解説文にある
昼食後は、図鑑検索の方法やおもな用語を紹介後、さっそくグループに分かれて検索です。
「これかな、あれかな?」
「どこを調べたらいい?」
花が咲いていないものは、講師から出されたヒントを手がかりに図鑑と向き合います。
写真と実物を比べて、イマイチ自信が持てないときは、解説文を読んでいきます。
そして、写真と比べて、「これだ!」と思ったときも、解説文で確認していきます。
ところが、解説文は植物用語のオンパレード。
わからない用語を、講師に聞いたり、調べたりしながら、解説文を読み進みます。
とはいえ、初めて図鑑を手にした人たちには、解説文に並ぶ
植物用語は、最初は意味不明の新出語句。
でも、意味がわかれば、識別ポイントが見えて来ます。
そして、解説文にある識別ポイントを採集してきた標本で確認してみると、
「これだ!」と思っていたのに、違っていたり、
「これは違うよなぁ」と思っていたのに、実は同じ種類だとわかったりします。
個体差があるので、図鑑の写真とそのまま同じ、というわけにはいきません。
写真で、「きっと、これに違いない!」と思った時も、
解説文を読めば、「間違いない!」と確信に変わります。
午後から夜にかけて、お風呂と夕食をはさみ、図鑑検索が続きます。
高倍率ルーペが活躍!
識別をするのに活躍したのが、高倍率のルーペ。
初めて図鑑を手にした人も、
夜の検索の時間には、図鑑の解説文を読みながら、
「ハキダメギクの総苞(そうほう)には、腺毛(せんもう)が密生しているんだって」
すると、ルーペでのぞいているほかのメンバーは
「あー、あるある。見えるよ〜」
肉眼ではよく見えない世界に、盛り上がります。
一人では、用語を調べるだけでくじけてしまうけど、ポイントを教わり、
グループで取り組めば、壁を越えることができます。
午前中の植物観察からスタートして、午後から夜にかけて
初めての図鑑を引く人たちも使い方がわかり、
「まだ自信はないけど・・・」といいながらも、解説文を読みつつ、
同定を進めていきました。
夜の観察も一段落ついたところで、希望者による交流会。
持ち寄りのお酒やおつまみも交え、楽しいおしゃべりに花が咲きました。
朝の散歩
歩いて10分ほどのところにあるわが家の田んぼまで、散歩に行きました。
2日目もとてもいい天気。
参加者の一人が、「あれはなんていう山ですか?」
そこには、ほとんど雪のない富士山がきれいに見えました。
富士山と言えば、雪をかぶったイメージが強いので、
初めて見る夏山の富士山は、とても意外にみえたとのこと。
確かに、言われてみればその通りです。
風に吹かれてゆれる小さな苗が並ぶ田んぼで、富士山をバックに写真を一枚。
てっぺんがちょっと見えるだけなので、どれが富士山かよくわかりませんが(笑)
田んぼのご近所の庭先で、ヘクソカズラがきれいに咲いていました。
野草料理とチンキづくりに使う野草を採集
始めに、野草料理に使う材料の採取方法について、
講師のミヤモトタミコさんが1つずつ説明していきます。
もうすぐ咲きそうにふくらんだヤブカンゾウのつぼみをいただきます
オオバコの中心部にある若い葉をいただきます 香りはまるでトリュフのよう
その後、食材チームとチンキの材料チームに分かれて、材料採集をしました。
今回、野草料理に使ったのは、
ヤブカンゾウのつぼみ、ツユクサ、オオバコ、イノコヅチ、ハキダメギク(コゴメギク)、ドクダミ
庭に生えているミョウガの茎とキクイモの葉も使いました。
あまり量がなかったので、味見だけしたのは、
ガガイモの新芽、スベリヒユ
いよいよ野草料理!
野草は、種類によって生で食べるもの、湯がくものがあります。
アクのないものから、アクが強いものへと順番に湯がいていけば、同じお湯を有効に使えます。
今回茹でた順番は、
カンゾウのつぼみ、ツユクサ、イノコヅチ、ハキダメギク(コゴメギク)、ガガイモの新芽 でした。
タミちゃんの野草料理では、野草を野菜のように使っていきます。
ジャガイモにあえたり、豆とあわせたり。
生春巻きづくり
生春巻きには、香草としてドクダミの生葉を入れました。
パクチーがなくてもこれで大丈夫。食べてみると、これが意外と美味しいんです。
生春巻きの材料 一番左がドクダミ
ライスペーパーの上に材料を乗せます
具をキュッと固めに包むのがコツ
先生のデモンストレーションを見て、一人一人が自分の生春巻きを包みました
今回作ったおいしい料理たち
ジャガイモのイノコヅチとコゴメギク入りスパイス炒め
ツユクサとトマトと玉ねぎのオリーブオイル和え
オオバコ入りひよこ豆のフムス
ノカンゾウ入り塩どうふ
などなどを作りました。
ご飯は、もみ殻を燃料にした自作のペール缶ぬかくどで炊きました。
炊き上がりを見極める、確実で簡単な方法もご紹介。
お皿に盛りつけると、こんな感じ
野草料理といえば、天ぷらやおひたし、というイメージですが、とても美味しくて素敵な料理ができました!
もちろん、とっても美味しかったですよ。
チンキづくり
昼食後は、虫に刺されたところに塗るチンキづくり。
野草を刻んで、35度のホワイトリカーに漬けます。
3〜6ヶ月でエキスが出て、使えるようになります。
中に入れた草は、
クズ、ゲンノショウコ、ドクダミ、ガガイモ、ヘクソカズラ、ビワの葉、
カタバミ、ヒルガオ、ヤブカラシ、カキドオシ、シロザ、オオバコ、スギナ、ヘビイチゴの実
など
アーユルヴェーダのお話
アーユルヴェーダ(Ayurveda)とは、Ayur(生命)のveda(智慧)という意味。
生命科学や生命哲学と訳されますが、つまり生命によりそった生き方のこと。
ドーシャと呼ばれる体質は、ヴァータ(Vata) ピッタ(Pitta) カパ(Kapha) の3種類あり、
多くは、2つを併せ持つ複合タイプ。
ヴァータは風、ピッタは火、カパは水の性質です。
宇宙を構成する5つの要素と、対応する6つの味
そして、アーユルヴェーダでは、この世のすべては、
空 風 火 水 地 の5つの要素から構成されていると考えます。
これに6種類の味が対応しているので、6味をまんべんなく取ることで、
体内の働きを正常に保つことができます。
6味とは、苦 辛 塩 甘 渋 酸
それぞれ、5つの要素のうち2つと対応しています。
甘味は、地・水:重く、冷たく、油性 カパを増大させる
酸味は、火・地:軽く、暖かく、油性 ピッタを増大させて落ち着きをなくす
塩味は、水・火:熱性でやや油性 ピッタとカパを増大させる
辛味は、火・風:軽く、温性、乾燥性 ヴァータとピッタを増大させる
苦味は、空・風:冷たさ、軽さ、乾燥性 ヴァータを増大させる
渋味は、地・風:冷たく、乾燥性、重い ヴァータを増大させる
分別と無分別
私たちは、分別がある方がいいと考えがちです。
ところが、アーユルヴェーダは、無分別であることを大切にします。
なぜなら、
アーユルヴェーダでは、あらゆるものが5つの要素で構成されていると考えます。
もともと同じものなのに、それを分けて、区別すれば、本質から離れてしまう。
だから、すべてのものを分けたり区別したりせずに、受け止める。
ということのようです。
つまり、世界はひとつ。ワンネスに通じますね。
アーユルヴェーダの伝統的な歯磨き粉づくり
アーユルヴェーダの基本的なお話を伺った後、歯磨き粉を作りました。
ホールスパイスを石のすり鉢でつぶして粉状にします。
乾姜、黒こしょう、塩などなど、入れるもの一つ一つに意味があります。
すり鉢で、材料をすりつぶして粉状にする
よく混ぜて、できあがり!
最後に、2日間のふりかえり。
米粉のケーキをいただきながら、一人一人感想をシェアしました。
あっという間の密度の濃い二日間。
図鑑が身近になり、家に帰ってからも調べて、植物を覚えたい。
今回作った料理を、忘れないうちに作りたい。
家の近所で野草を観察したい。自分の体質に合わせた食事を考えたい。
庭にはびこる雑草だと思っていたら、使えることがわかり、宝に見えてきた。
アーユルヴェーダの話を聞き、体質と食事、味の関係があることがわかった。
などの感想をいただきました。
9月には、樹木図鑑の引き方講座 「めざせ!植物の達人 樹木編」を開催します。
ただいま、募集中です。詳しくは、こちらからご覧いただけます。
また、野草講座は、来年も開催予定です。
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